2008年度勉強会の感想
■第二回<西川伸一先生>
・生き生きした生き方、知的好奇心の強さ、心理の追求を楽しんでいる姿。
・言語とDNAを同じ情報伝達手段としてとらえていたことが印象的。
・サイエンスは楽しい。分子細胞生物学の内容は応用化学をやっていた時、分子の組み合わせとしてしかとらえていなかったので、意味を詳しく聞けて新鮮。
・遺伝子ですべてが決まるのではなく、エピジェネティックなものが重要であるという考え方。
・今まさに生命工学が革命を遂げようとしていること。
・男一人からでも子供が作れること。不老不死への展望。
・これほどすばらしい科学者にはじめてお会いしたこと。尊敬。
・イデオロギーとしての生物学というのがいま一つ理解できなかった。
・生物のシンプルだがとても柔軟な情報伝達手段。
・偉大な発見を影から支えた多くの先進的な試み、そのすばらしさ。
・偶発的な発見が多いならば、大事なのは継続力か。
・研究所の先進的な人事制度に感銘を受けた。日本のポテンシャルを感じた。
・生命科学と社会のリンク、背景知識が不足していた。
■第三回<和田秀樹先生>
・頭のよさはメタ認知、知的体力、知的謙虚が大切。
・自分がもっていない観点と問題意識で物事を読むところはとてもヒントになった。
・今日本が抱えている問題から中国の将来が見えると思うので、今から問題意識を持たなければいけないと思った。
・現場を知った現場のセンス、具体的な問題意識。
・名誉というインセンティブのつけ方。
・知に対する尊敬への回帰が今の日本にも必要。
・さまざまな経験、バックグラウンドがあるからこそ語れる多くの話がとても面白かった。
・数字のファクトが頭に入っているから話に説得力が出るなと思った。自分も数字のデータベースが圧倒的に足りない。
・人と違うことをする面白さ。食えるネタをたくさんもちたい。
・ものの見方を変えるためには環境を変えること。
・日本の未来に対して強い懸念を抱いてきた自分が、いかにちゃんと深く考えていなかったかを痛感した。過去の日本において「知」に対する尊敬と「銭」に対する軽蔑があり、それが「知」を追求するインセンティブになり、江戸の反映と明治維新をもたらしたのだと感じ、今の日本においてどうすれば同じように非金銭的インセンティブを作っていけるのか、今後考えていきたいと思う。また、和田先生が包み隠さず色々なことをお話されていたのに強い説得力を感じた。
・教養や文化の経済力に対する相対的な価値が低いことに危機感を抱いた。マスコミは特に多様化すべきだと思った。
・昔からよく考えて道を選んでいたのではなく、受け身な姿勢でいたのにあれだけ主体的になれるのか。
■第四回<團紀彦先生>
・歴史への知識が非常に深く、建築と時間を絡めた話が興味深かった。文化や歴史から見る建築のとらえ方が新しかった。もう少し教養を深めねばと思った。
・建築様式と宗教性というお話は、建築にほとんど触れることのなかった身としては単純に興味深く聞かせていただいた。気になったのは「円」のもつ意味の変化から「分離、同化、調停」という3つの話になったことで、環境・地形との調和という意味で、後の液体の概念にもつながってくるのかなと思った。液体的要素が地形との調和以外にどういう意味をもつのかについて突っ込んで聞けばよかったなと思った。
・建築というものを哲学的、思想的に整理して受け止められ、とても面白かった。さまざまな事象を結びつけて考えてみる、という團先生の姿勢が心に残った。
・新しいコンセプト(地形の利用、「液体」の考え等)を生み出していることがクリエイティブな職なのだと感じた。
・思想、歴史の意味合いを考え、それらと実社会のあるべき姿をすり合わせる「工学」としての建築を実感できた。
・建築を生業とするための環境は昔と今とでどう変わっているのか聞いてみたかった。
・建築の意味づけを理解することで、建築をさらに深く味わえた。建築に興味がもてた。
・表参道ヒルズをよく利用しているので、ヒルズに対する低い評価に驚いた。
・近代建築に「液体」的なものを取り入れるという発想、また建築物は自然と対話する方法の一つであるという話が心に残った。
・日本橋の「建物」ではなく「通り」に主体性を持たそうという試みを実際に実現してほしい。
・三大宗教の比較と建築との関わりが興味深かった。
■第五回<遠藤守信先生>
・一つの専門を極めれば広い情報網、人的ネットワークが出来るということ。科学は協力して発展させ、実用化の段階(企業活動)は競争的にすべきという示唆。
・科学の4つの山のお話:science → technology → economy → society
・無邪気な好奇心をおもちなことに魅力を感じた。
・波頭さんの謙虚な態度に感動。ここまでのポジションになられても尚謙遜し知識を求め勉強されていること。
・科学に関われること、創造的であること、未来のために生きていること、幅広い視野(社会、経済、科学、技術)で世界を見られていることなどが非常にうらやましいと思った。こんな人生を歩みたいと強く思った。
・今の不況さえ20世紀型の社会がふるいに掛けられ21世紀型の社会に転換するためのチャンスであるととらえておられること。
・62歳とは思えない若々しく力強いお姿。一つの分野を深堀されている方の魅力、お話の面白さ。
・基礎科学の殻に閉じこもり実社会とのつながりを全く意識しない生き方は(研究者として)損だし大成しないと思えてきた。
・専門性を極めていくことで周囲に情報や人が集まってきて、結果的に広がりをもつという点は改めて考えさせられた。 |